
ソファや家具は和の雰囲気にそろえたのに、なぜか部屋がぼんやりまとまらない。
その原因は、視線がいちばん集まる「壁」が真っ白なまま残されていることかもしれません。
とはいえ賃貸では、壁に穴を開けたり大きく改装したりは難しいもの。
そこで本記事では、貼る・掛ける・立てる・吊るすという四つの考え方で、施工いらずでも和風の壁面をつくれる飾り方を、アイテムの選び方とあわせてご紹介します。
季節ごとの着替え方まで具体的にまとめましたので、何から手をつければいいか迷っている方の道しるべになれば幸いです。
部屋に入ったとき、人の視線は床より少し高い位置、ちょうど壁の中ほどに集まります。
ここが白い壁紙のままだと、どれだけ家具を和にそろえても空間が間延びして見えてしまいます。
逆に言えば、壁の余白に一点、和の要素を効かせるだけで、部屋全体の印象は驚くほど引き締まります。
インテリアコーディネーターの視点でも、壁まわりは「面積のわりに手をかけずに雰囲気を変えられる場所」として最初に提案することが多いところです。
写真に撮ったときの背景としても効いてくるので、SNS映えを意識したい方にとっても外せないポイントになります。
壁飾りというと掛け軸や額をイメージしがちですが、賃貸でも取り入れやすい和の壁面演出は、もう少し幅があります。
整理すると、次の四つのアプローチに分けて考えると選びやすくなります。
なお、壁に直接固定するタイプを使う場合、賃貸物件では家主の許可、民泊運営の場合は自治体や管理組合への確認を必ず行ってください。
それぞれ、相性の良いアイテムと一緒に見ていきましょう。
もっとも面の印象を変えやすいのが、壁面に取り付ける格子状のパネルです。
吸音性のある素材に木目調の格子をあしらった一枚で、テレビ背面やベッドヘッド側の壁に添えると、それだけで旅館の一室のような佇まいに近づきます。
掛け軸の代わりとして、和の「見せ場」をつくれるのが魅力。
ナチュラルからダークブラウンまで色味が選べるので、既存の床や建具のトーンに合わせて馴染ませやすい点も使いやすいところです。

「壁に何かを取り付けるのはハードルが高い」という方には、壁際に背の高い枝物を立てる方法がおすすめです。
床から壁にかけての余白を縦に使うことで、壁面を飾ったのと同じ効果が生まれます。
まず土台となる花器から選んでみてください。
深みのある釉薬の三点組で、高さを変えて並べると壁際にリズムが生まれます。
枯枝や秋草を合わせれば、床の間(=和室で花や掛軸を飾る一段高くしたスペースのこと)のような落ち着いた一角に。

もう少し主役感のある一点なら、こちらも壁際の角によく映えます。
幾何学模様の白い陶器に柿の実の枝を合わせた佇まいで、白壁を背景にすると枝のシルエットがくっきり浮かび上がります。
直線基調のすっきりした器は、和モダンの空間と相性が良い選び方と言えます。
和風の壁飾りの楽しさは、枝物を差し替えるだけで季節の表情をまとえるところにあります。
生花と違って水替えも枯れる心配もいらないので、お手入れの負担なく一年を通して飾り替えを楽しめます。
春は、やはり桜から。
枝いっぱいに花をつけた一本で、玄関や壁際に立てるだけで部屋に春の気配が満ちます。
フェイクとは思えない質感で、撮影時の背景としても華やかさが出ます。

秋に向けては、紅葉の枝へ。
赤からオレンジ、緑までグラデーションのある葉色で、白い壁を背にすると色が際立ちます。
一本あるだけで空間の季節感がぐっと深まります。
通年で使いやすい清楚な枝物もそろえておくと便利です。
白い小花と緑の葉が房状に集まった枝物で、どんな和の空間にもなじみます。
季節の主役が決まらないときの「土台」として重宝する一本です。
上品な花姿で和の格を上げたいなら、玉蘭もおすすめです。
白い花びらにつぼみや若葉まで再現された枝物で、玄関や床の間に置くと凛とした華やかさが加わります。
壁の角や窓辺に少し余白が残ったら、軽やかに吊るす飾りで埋めると空間に動きが出ます。
風に揺れて音を奏でる風鈴は、視覚だけでなく音でも季節を運んでくれる和の定番です。
透明な硝子玉に花鳥の絵柄を施した江戸風鈴で、短冊の和柄が窓辺で揺れる姿に風情があります。
光を通すと壁に映る影まで美しい一点です。

もっと気軽に取り入れたい方には、こちらのガラス風鈴を。
涼しげなデザインで、玄関やベランダ、窓辺に吊るすだけで夏らしい一角がつくれます。
手の届きやすい価格で、まず一つ試してみたい方にも向いています。
壁飾りの仕上げに効くのが、棚やニッチ(=壁を少しくぼませた飾り棚スペース)の上に置く小さな点景です。
壁飾りの「足元」に視線の受け皿があると、空間全体のまとまりが一段と良くなります。
趣ある枝ぶりの盆栽風フェイクグリーンで、お手入れ不要のまま一年中青々とした姿を保てます。
床の間や飾り棚の上に一つ置くだけで、格調のある和の点景になります。
最後に、迷ったときの順番を整理しておきます。
この流れでそろえていけば、施工をしなくても、白かった壁まわりが少しずつ和モダンな表情へと変わっていきます。
賃貸でも、自宅でも、まずは気になった一点から。
壁の余白に和を一つ加えるところから、お部屋づくりを楽しんでみてください。