
お部屋に「和の趣」を取り入れたい。
そう思いながらも、「どこから手をつければよいか分からない」「やりすぎると古臭く見えそうで不安」と感じる読者の皆さまは少なくありません。
実は、和インテリアは素材・色味・光の3つの軸を丁寧に整えるだけで、空間全体が一段と落ち着いた佇まいに近づきます。
本記事では、インテリアコーディネーターの視点から、賃貸でも取り入れやすい和インテリアの基本と、アイテム選びの順番をやさしく解説していきます。
和の世界観を、無理なく日常に溶け込ませていきましょう。
「和」と一口に言っても、純和風から旅館風、和モダンまで幅は広く、闇雲に和小物を増やすだけでは雑然とした印象になりがちです。
インテリアコーディネーターの視点では、まず以下の3つの軸を意識すると、世界観がぶれにくくなります。
この3点さえ押さえれば、家具のテイストが多少バラついても「和」としての統一感が生まれます。
お部屋づくりを楽しみたい方は、新しいアイテムを買い足す前に、いま部屋にあるものをこの3軸で見直してみてください。
和の空間に共通する特徴は、直線基調のフォルムと、目線の低さです。
背の高い洋風家具を減らし、低い家具を中心に組み替えるだけでも、空間の重心が下がり、畳の間のような落ち着きが生まれます。
すっきりした木調や格子模様、シンプルな直線フォルムの家具を選ぶと、和モダンの世界観と相性が良くなります。
和インテリアづくりで最初に手を入れたいのが、床まわりです。
ローテーブルと座椅子、円座クッション。
この3点だけでも、洋室がぐっと和の表情に切り替わります。
まずは折りたたみできるロータイプのテーブルから。
折りたたみ式で工具不要、使わない時は壁際に立てかけて省スペースに収納できる仕様です。
賃貸の1Kやワンルームでも導入しやすく、来客時のお茶席にもさらりと使えます。

座る道具は、背もたれ付きの座椅子があると、長時間でも姿勢が安定します。
畳や床に直接座る暮らしを支える、和の伝統的なフォルム。
テーブルと組み合わせると、自然と「お茶を一服」したくなる空気が漂います。
そしてもう一枚、丸い座面が空間にやさしさを添えるのが、円座(=い草や天然素材を編んだ円形の座布団)です。
伝統的な手編み技法で仕上げた天然素材の円座は、畳や床での寛ぎを格別なものに変えてくれます。
フローリングの上に直接置いても絵になり、来客用の予備としても重宝する一枚です。
和インテリアの印象を最も大きく左右するのが、実は照明です。
天井の白い蛍光灯一灯では、どうしてもオフィス的な硬さが残ります。
電球色(暖色)のスタンドライトを低めの位置に置き、天井灯を落として「灯りを足し算する」感覚に切り替えてみてください。

梅の花を模した円形のオブジェ型ライト。
やや黄味のある電球色で、ベッドサイドや床の間に置くと、行灯(=和紙を張った置き型照明)のような柔らかい陰影が生まれます。
長押しで無段階に調光できる仕様も、夜の時間にゆとりをもたらしてくれます。
なお、電気を使う照明はPSE認証品をお選びいただき、設置場所の安全確認も忘れずに行ってください。
家具と照明が決まったら、次に効いてくるのが壁面の表情です。
賃貸でも貼り付け可能なパネルや、壁に立てかけるだけの装飾を加えると、空間が一気にホテルライクな佇まいに近づきます。
聚酯繊維(ポリエステル繊維)を使った吸音性のある格子状の壁面パネルです。
厚みのある木目調の格子が陰影を作り、ベッドヘッドの背景や、リビングのテレビ後ろなど、視線が集まる壁面に映えます。
格子(=縦横の細い木枠を組んだ和の伝統意匠)の効果で、フォトジェニックな一角に仕上がるのも嬉しいところです。
合わせて、生け花や枝ものを一本生けるための器を一つ持っておくと、季節感を出しやすくなります。
景徳鎮の陶器で仕立てた、わびさび(=不完全の中にある美)の風合いを持つ花瓶。
ドライフラワーや一輪挿しの枝ものでも様になり、玄関やリビングの一隅にすっと馴染みます。
最後に、空間全体を引き締めるのが小物・雑貨の役割です。
大きな家具は世界観の「面」を担いますが、季節感や個性は小さな「点」で表現するのが上品な見せ方になります。

まずは床の間や棚の上に、卓上サイズの盆栽風グリーンを一鉢。
繊細な松葉と趣ある枝ぶりが、和の空気を一気に呼び込んでくれます。
フェイクグリーン(=お手入れ不要の人工樹木)なので、水やりや日当たりを気にせず、長く同じ姿を楽しめます。
香りの要素も、和インテリアと相性の良い演出です。
陶器製の優美な香炉。
お香を一本立てるだけで、空間の余白に深みが生まれます。
瞑想や読書のお供にも、ささやかな儀式性を添えてくれる一品です。
収納も、見せる前提で選ぶと景色が変わります。
天然竹を編み上げた六角形の小物入れ二点組。
リモコンや茶葉、文具など、生活感の出やすい小物を竹かごに移すだけで、棚上がぐっと整って見えます。
季節を感じさせる飾りも、ひとつ加えておきたいところ。

透明な硝子に桜や小花が手描きされた風鈴。
窓辺に吊るすと、夏の風を感じる涼やかな音色が空間に広がります。
冬場は飾りとしてだけでも、和の余韻を残してくれる存在です。
「壁に穴を開けられない」「畳が敷けない」と感じている方も、置くだけ・立てかけるだけのアイテムを中心に組み立てれば、賃貸でも十分に和の世界観は再現できます。
優先順位の目安は次のとおりです。
この4ステップを順番に踏むだけで、空間の印象は段階的に「和」へ寄せていけます。
一気に揃えるよりも、まずは床まわりと照明から始めるのが、失敗の少ない順番です。
なお、壁面パネルを設置する際や、賃貸物件で大きく模様替えする場合は、家主や管理組合の規約をあらかじめご確認ください。
和インテリアは、素材・色味・光の3軸を意識しながら、低い目線・直線基調・自然素材という骨格を整えるところから始まります。
そのうえで、床まわり→照明→壁面→小物の順に、少しずつ和のピースを足していくと、生活動線を崩さずに世界観を高めていけます。
お部屋づくりを楽しみたい方は、まず一点、ロータイプの家具か電球色の照明から取り入れてみてください。
空間の重心が一段下がるだけで、毎日の暮らしに小さなお茶席のような余白が生まれていくはずです。